どうも、新です。
公開完全に忘れてた記事をいまさら公開します。
たなべさんのブログ「のぉれ」から。
たしかに人生って旅だよね。
じゃあその到達点って、どこなんだろ。
人によって目指す目的地っていうのは全然違う。
よだかの星
宮沢賢治の書く旅の話っていえば一番最初にでてくる
まあこれだよね。
好きなんだけど、こっちじゃなくて
ざっくりとしたあらすじ
美しい鳥であるカワセミやハチスズメの兄、よだかは、とても醜い鳥であった。
鳥の仲間たちからも、その容姿故に嫌われ、鷹からは「たか」という名前を使うな、改名しろなどと理不尽なことを言われてしまう。夜空を飛んでいると、自分が生きるためにたくさんの虫の命を食べるために奪っていることに気づく。
生きることに絶望したよだかは、太陽に焼かれてもいいからあなたのところに行かせて欲しいと願うが、太陽は、よだかは夜の鳥なんだから、星に頼めと言う。その通りに星たちに願いを言うも相手にされない。
居場所がなくなったよだかは、命を懸けて夜空を上へと飛び続け、いつしか青白く燃える「よだかの星」となり、今でも夜空に輝いている。
一番最初に読んだ宮沢賢治作品だっていうこともあって思い出補正かかってるのもあるんだけど、俺はこれが一番好き。
国語の教科書とか、道徳の教材とかにもなったりしてるやつで、この作品通していじめがどうのこうのみたいな話をされた記憶がある。
そこじゃないよね
俺としては生きるために何かを犠牲にしなければならないことに絶望したっていう部分にものすごく共感した。
よだかは容姿からの差別という、ある種個人的な悩みから、生きるために何かを犠牲にしている自分という気づきを経て、命を燃やし、生き様を残す。
その生き様を残したことこそ、彼の到達点。
じゃあその輝きって、よだかの生き様って、何を示してるのか?
よく言われることだけど、宮沢賢治の作品って、自己犠牲の精神が強い登場人物が結構出てくる。銀河鉄道でいうところのカムパネルラ。
よだかもそれにあたるんじゃないだろうかって思う。
何かを犠牲にしてまで生きたくないという死に対する渇望が、星になったよだかの命の輝きになるっていう、ある種矛盾した美しさっていうのが、とても人間らしくて綺麗だと思う。それに賢治の素晴らしい情景描写が重なって、本当に美しいなって思えた。
雨ニモマケズって詩があるけど、実はあれは死ぬ間際の賢治が自分用のメモとして残したものらしい。彼の生き様や、彼の精神がよくまとまっている。そして、生涯を通して言いたかったことってそこにあるんじゃないか?
賢治は、自分のためじゃない、誰かのために生きることこそ、本当の意味での幸せだということを言いたかったのかもしれない。
(了)