Jeepers Creepers

眠れない夜を、語り明かせるシェアハウス

某修行プログラムのはなし

自分を変えるのは環境でもなければ出会いでもない。自分自身だ。
環境が変わろうと、いい出会いがあろうと、自分が変わろうとしなければ何も変わらない。
 
そもそも、人は劇的には変わらない。学んだことや経験したことを自分の中で一生懸命咀嚼して、死ぬ気で自分と向き合って、少しずつ少しずつ変化していく。そうして変化してなじんだ部分は、ぱっと見ではわからないが、前後で見れば大きな変化となる。アハ体験のアレみたいなもんだ。
 
そんな当たり前のことを見て見ぬふりして、なんとか「うまいことやりたい」無垢(あるいは無知)な学生を騙し、大金を払わせるアコギな商売があるようだ。2週間で人生が変わると謳う、某修行プログラムである。2週間かけて無意味かつ派手な体験をさせるという悪どい商売だ。なんせ見た目が派手だから、その体験をしている間だけは人生が変わったような錯覚をおこさせるのだろう。
 
そうして中身の伴わない劇的な記憶とともに社会に放出された自己肯定感のない人間は、まがりなりにも金と労力を注ぎ込んでしまったが故に、「なんか変われたような気がした」という薄っぺらい成功体験(笑)にすがりつくしかなくなってしまう。そうなってしまった人間がやることは、見た目だけが劇的な体験をもう一度求めることだ。
 
決して何かが変わったわけではない。
何かが変わったんだと思わなければ、心が折れてしまうような状態を作り出されているのだ。
 
これは心理とマーケティングを熟知した悪意ある人間が仕掛ける洗脳に他ならない。インコ真理教とでも名付けてやろう。やってることの何が違うというんだ。
 
こうして、足元に落ちている宝石に気付くことなく、実体のない遠くの光ばかりを追い求める、悲しい人間を量産していくのだ。こんなもんがまかり通っていていいわけがないだろう。
 
読んだだけで人生が変わる本なんかない。
知っただけで人生が変わる思想なんかない。
1、2回インドに行っただけでは人生は変わらないし、
童貞が1、2回セックスしたところで心は童貞のままだ。
動画見ただけで金儲けはできないし、一つの体験だけでは人間の本質は変わらない。
 
 
2週間で人生が変わるプログラムなんてのは嘘っぱちなんだ。
 
僕はお金もないし、やりがいのある素敵な仕事をしているわけでもない。有名人でもなければ、隠れた天才でもない。そして、それらを求める努力もできない残念な人間だ。窓から入ってくる風で部屋干しした洗濯物が揺れている姿を面白がることができるのが唯一の取り柄だ。
 
しかし、僕は僕の取り柄がいかに素晴らしいかを理解している。
そんな簡単だけど見えにくいものに少しずつ気付いていくことが、燻ってる奴の人生を変える一番簡単な方法なんじゃないかと思う。