Jeepers Creepers

眠れない夜を、語り明かせるシェアハウス

緑色の日

緑色のフリフリ服に身を包み、真っ赤な薔薇が描かれたハンドバックを手にしたその女はあまりに醜かった。腕は太く、寸胴のような体型にピーマンの肉詰めのような脚が付属していた。胸は小さく、出してる肌は尽く汚い。ガマガエルとオランウータンを二重露光したみたいな顔面でスマートフォンを覗き込んでいた。しかし、彼女の頭には黒く長い髪が生えていた。それは4m離れたところからでも綿菓子の香りがする、うっかり手で梳いてしまいたくなるような、そんな髪をしていた。そうだ。彼女の髪には、妖艶で甘美なツヤがあったのだ。僕の前にそびえ立つ、その、なんともアンバランスな生物は、スマートフォンを覗き込んでいた。緑色のフリフリ服に身を包み、真赤なバラが描かれたハンドバックを手に、ガマガエルとオランウータンを二重露光したみたいな顔面は、スマートフォンを覗き込んでいたのだ。奇妙な化け物は僕を一瞥して去っていった。綿菓子の甘美な香りが鼻を掠めた。僕は彼女の後ろを見送りながら、遠くに聞こえるサイレンを聴いた。