Jeepers Creepers

眠れない夜を、語り明かせるシェアハウス

日誌8、或いは、電車で酔っ払いに席を譲らなかったはなし

先日の話だ。

 

仕事終わり、終電近くの電車で、ケータイを弄りながら座っていた。電車内の陰鬱さは、新型ウイルスの影響か、マスクをみんながしているせいで、いつもよりジメジメしたように感じた。

 

俺の座る席の目の前で、綺麗なお姉さんがぐでんぐでんに酔っ払っていた。今までは、そういうシチュエーションにでくわした時、なるべく席を譲るようにしていたが、ここ数年席を譲った事によって嫌な思いをしたことがあまりにも多かったので、妊婦以外には二度と席を譲らない事にしていた。‬

 

‪俺は直前にあった理不尽な出来事のせいで精神的に磨耗していたし、こういう時座っちゃって寝過ごしまくって後悔した事もあったなあとか考えてたので、酒でぐでんぐでんになったお姉さんに席を譲ろうとは思わなかった。‬

 

‪しばらくして、隣に立っていたほろ酔いのおっさんがニヤニヤしながら「譲ってあげれば、流石に」と声をかけてきた。こっちにも色々な思考があったにもかかわらず全て無視して(当然だが)無神経にそういう事を言ってきた。‬

 

‪あのおっさんはぐでんぐでんなのが綺麗なお姉さんではなく、汚いおっさんだったら、同じように俺に声をかけただろうか。そんなことを考えると、なんだか腹が立ったので無視を決め込んだ。‬

 

‪最寄り駅、改札を出て、ほとんどの店がシャッターを閉めた深夜の商店街を歩いている時、ふと「席、譲っときゃよかったな」と少しだけ思った。自分がしんどい時ほど、他人の為に”なりそう”なことをする、というオナニーのやり方もあるなと思ったからだ。‬

 

…そう考えるとやっぱり、あの時話しかけてきたおっさんのことはすごく気持ち悪いと思った。‬

 

 

(了)